相続放棄と故人が借りていたアパートに関するQ&A
Q相続放棄をする場合、故人が借りていたアパートを解約することはできますか?
A
相続放棄をする場合には、被相続人が借りていたアパートの賃貸借契約を解約してはいけません。
解約してしまうと、相続財産を処分したことになり、相続放棄が認められなくなってしまう可能性があります。
相続放棄をするのであれば、他の相続人の方がアパートの解約をするか、他の相続人がいないまたは全員相続放棄をする予定であれば、一定期間家賃を滞納したことを理由に賃貸人(大家さん)側から解除(専門用語では法定解除といいます)してもらうようにしてください。
Q家賃が滞納されていたようなのですが、支払ってよいのでしょうか?
A
相続放棄との関係においては、被相続人の預貯金などの財産以外からであれば、滞納されていた被相続人の家賃を支払っても問題にはならないとされています。
ただし、相続放棄をすると初めから相続人ではなかったことになりますので、そもそも被相続人が滞納していた家賃を支払う必要がありません。
なお、被相続人の現金や預貯金を使って滞納されていた家賃を支払ってしまうと相続放棄ができなくなる可能性がありますので注意してください。
Qアパートにある故人の荷物はどうしたらよいでしょうか?
A
被相続人が済んでいた賃貸アパートに残されている家財道具などの荷物(「残置物」ということがあります)については、相続放棄をする場合には、原則として何も手を付けないようにする必要があります。
被相続人の荷物は、基本的に被相続人の相続財産になることから、廃棄処分したり売却したりすると法定単純承認事由に該当してしまい、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
もっとも、実務においては、被相続人が賃貸アパートの居室内に遺した荷物をそのままにしておくことが難しいという場面もあります。
このような場合、被相続人の荷物に価値がないのであれば、それらは相続財産を形成しないと解釈し、処分しても相続放棄が認められなくはならないという考えもあります。
ただし、この考えについては裁判所が明確に示しているわけではないので、仮に被相続人の荷物に価値がない場合であっても、処分することには一定のリスクを負うことは認識しておく必要はあります。